バズーカのケース - Bazooka case (2010)

楽器「バズーカ」運搬中のパイプの歪み防止のために、木製布張りの楽器ハードケースを自作してみたのですが・・・実はこれが楽器自体よりも大変で、毎晩作業して丸々3週間びっちりつぶれました。

ホームセンターで6mm厚のベニヤ板と10mm角ぐらいの三角の桟材を買い、蓋つきの箱を作って、

これに外張り布を接着剤で貼り、上から金具一式を釘で装着する、釘は先端を曲げ、内張り布を接着して隠す、というのが大まかな構造です。

・金具一式はむかしA在さん(cl)から譲り受けて近年ずっとお蔵入りになっていたトランク型のカセットテープ入れ(写真)を分解して剥ぎ取りました。元々はおそらく「大中」とかで購入した廉価品と思われ造りは雑ですが、金具一式が揃っているのは助かります。また固定箇所がリベット留めだと分解が大変そうですが、幸いすべて釘留めだったためペンチなどで分解できました。箱の構造や細部の処理もこのカセットテープ入れを真似ればよいので、(手間は掛かるとしても)難しくはなさそうです。柄にもなく真面目な工作をやる気になってきました。

・箱は木工用ボンドと、長さ10mm程度の真鍮釘で組み立てました。真鍮釘を選んだのに意味はありませんが、なんか工芸品っぽくてかっこいいかな、と。板材には反りがあるので、釘は一気に最後まで打ち込まずに途中まで打ち込んでおいて、箱本体と蓋との一致具合を見ながら釘位置を微修正し、一致したところで最後まで打ち込むようにしたところ、結構な精度が出せました。

・カセットテープ入れにならって、箱の長辺のカドはノコギリで削りこんでアールをつけ、当て板に巻いた80番とか45番の粗い布やすりでガンガン削って表面を整えます。内側に桟材が当ててあるため、この桟材が見えるぐらい削りこんでも強度的にOKであり、このへんかなり楽しい作業です。このアールの意匠上の説得力は強力であり、これが完成品のもっともらしさの大きな源泉になりました。

・板材の隙間にはスムージングのため「バスコーク」という浴室用コーキング材(黒)を塗りましたが、塗らなくても問題ないと思います。黒い外張り布は、スーツを買ったときについてきたスーツ入れ布手提げから採取した不織布です。もう少し高級感のある布とかビニールレザーでも良かったかもしれませんが、バズーカのようなしょうもない楽器にはこれで十分でしょう。この外張り布には最終的には黒ペンキを塗って撥水性の向上を図りました。

内張り布は実家で昔使っていたカーテンを洗濯して再利用。思い出の染み込んだカーテンを匠の技で・・・なんてテレビの住宅リフォーム番組みたいですが、用途がコレでは美談かどうか大変微妙ですね。西荻窪の西友さんに頼み込んでゲットした発泡スチロール製の青森リンゴ箱から、楽器にジャストフィットするスペーサを削り出し、これをそれぞれ内張り布でくるんで接着するのですが、不規則な立体形状のため柄合わせが異様に大変で、内張り布は無地にすべきでした。またスペーサひとつあたり最低3ピースの内張り布を、すべて現物あわせで、しかも布の厚みを考慮しながら作る必要があり、そんなスペーサが20点ぐらいあって、それだけで内張り布のピースが60点!かなりグッと来る数です。とにかく根気が要ります。

そんなこんなで内張り布を、箱の内側に接着剤で接着し、スペーサ類は各所に両面テープで固定して完成!チューバ用とトロンボーン用の各マウスピース(好みで使用)と2種類のインナーチューブがぴったり収容できる便利仕様、内部には 開閉式の小物入れもあり、スプレーなどの小物が入れられます。自分で言うのもなんですが、結構本格的な造りであり、実用品として十分すぎるクオリティです。デザイン的には一見ふつうのトロンボーンケースのようであり、普通すぎて物足りないくらいかもしれませんが、明治期の工業製品を思わせる無骨な外観は自分好みであり、予想を超える満足度と言っていいでしょう。しかし・・・

オリジナルの管楽器ハードケースの制作という作業は、工数がべらぼうに多く、手間のかかり方が心底やばいです。外装4割・内装6割というところですが、材料費が板材と接着剤などで3千円ぐらいとしても、工賃としては最低10万円ぐらい貰わないと割に合わない作業量であり、かといって楽器ケースに10万円払える人は少ないでしょうから、もう日本人の人件費では職業として成立しませんよね。楽器ケース製作を職業とされている方、マジで尊敬します。素人の分際でこれに手を出したのは「毒食わば皿まで」を旨とする(?)ジャズボイラーズ的にも少々やりすぎで、魔が差したとしか言いようがありません。私がこの楽器ケース作りで得た最大の教訓は、「楽器ケースは自作するな!」ということです。「楽器ケース 自作」とかの検索で来られた方、がっかりさせてしまってごめんなさい。

・ただし、中学技術家庭や高校美術工芸の課題工作を、クラスの上位10%以内のクオリティで常時クリアできる程度の器用さがあって、且つ自作の手間自体に自虐的な楽しみやネタとしての価値をも見出せるという方(楽器人口の2%ぐらいでしょうか)にならば、楽器ハードケースの自作というプロジェクトは貴方のご期待に、予想以上の重量感で応えてくれることでしょう。成功の鍵は、金具が採れて構造が真似できるような、ジャンク品レベルの楽器ケースかトランク風ケースの調達、あとは根性あるのみです。Good luck!

・そんなわけで、バズーカという楽器を見に来たいという奇特な方には、もし来られたらバズーカだけでなく、そのハードケースも見て行って頂けると、制作者的に嬉しいです。このおバカな楽器のためにハードケースを作りこむ根性のある人は、地球上で3人ぐらいしかいない気がしますし、日本では後にも先にも私だけだろうと確信しています。しかし内容はどうあれ、日本中で自分しか取り組んでいないであろう開発テーマに取り組んだというのはなかなかの気分ではあり、後悔はしていません。笑

ジャズボイラーズ - The Jazzboilers

月 に 一 度  公 園 で ジ ャ ズ  や っ て ま す

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