箱ドラム
箱ドラムを憎々しげに見つめるのは、マーティーさんの愛娘サラちゃん。そう睨むなよ、俺だって辛いんだ
photo by morishita
・箱ドラムは、まあ見てのとおりの物体ですが、木の箱空き缶で作った自作のドラムです。

・構想3年・制作3ヶ月と公式には言ってますが、実は今でも少しずつ進歩してたりします。

・木製のペダルも自作して、ドラマーなら普通に演奏できるようにできているのがミソです。結構もっともらしい音がするので、音を聴いてふらりと立ち寄ったお客様は、その音源がコレなのを見てびっくりされるそうな。

・この箱ドラムは苦心の作だけに、説明がどんどん長くなってきてしまい、ついてはこれを別ページに移しましたので詳細はそちらをご覧下さい。




その他の楽器であって特殊なもの
ウォッシュボード 洗濯板です。1920年代のスキッフルのバンドでよく使われた有名な小道具です。

・当初は定石に従い、裁縫用の指貫(ゆびぬき)を装着した軍手(「パワー・グローブ」と命名)でガシガシ鳴らしていましたが、やや音質が硬すぎるきらいもあって、最近では製菓用の口金(クリームを絞るやつ)に変えてみました。音質は軽快になりましたが爪の尖り具合は異様で、ある女の子から「小林さん、ジェイソンみたいです!」と指摘されました。

・最近ではウォッシュボードをネット通販で買えるようになりましたが、少し前まではこのような金属張りの製品は入手が非常に困難でした。このウォッシュボードは由緒正しい?米国Columbus Washboard社製で、大谷栄四郎さん(cl)から頂きました。感謝!
熱演するコバヤシと、不安そうに見守る御近所の皆さん。photo by seki


なんだかんだ楽しそうな森下さん(w
photo by seki
箱ベース・1オクターブの自作巨大親指ピアノです。ジャマイカに(単に観光で)行ったコバヤシが、カリプソ?メント?などを渋くも演奏するご老人バンドが使用していたのを発見、帰国後に真似して作りました。バンド名を聞いたら「ジャマイカン・オールスターズだ」と言っておられましたが、それ本当かよ、御老人・・・。

・箱ベースはとっても簡単な構造なので、鳥の巣箱とか造ったことのある人なら誰でも作れます。正しくはマリンブラとかルンバボックスというのだそうですが、発音体にスプーンを使った点がジャズボイラーズのオリジナルと自負。サウンドホールの形は「松」だよ、だって俺ら東洋人じゃん?

・素材のベニヤ板は、電気通信大学空手部主将(当時)のフジサワくんがくれました。本棚を作ったときの余りだそうです。ありがとうフジサワ!押忍!!

・2007.11
ちなみにジャマイカのメント(mento)はニューオリンズジャズに近い要素があるのか、ゆるーくて楽しい音楽でした。こんなかんじ。バンジョも4弦だし。日本にも箱ベースでメントをやってるこんなバンドがあるのを発見、森下さんも負けていられませんね?!→San Fernando Mento Patrol
・2008.02
↑のメンパトさんは、なんと07年11月で活動停止されたようです。いつか共演したかったのに、残念・・・。トラのbjジョウジ君がmentoに関心を示しているようです。


カズー 市販のカズーでは音量が足りないので、空き缶を切ってラッパ状の拡声器をつけました。ミュートを使った演奏にも適しており、ひそかに「ジャズモデル」あるいは「ジャズ・カズー」と呼んでいます。4管のアンサンブルに混じって一生懸命に吹いて(=うなって)ますが、なかなか上手くならないんだよね・・。

・とても良く錆びるため、「POR-15」という自動車レストア用の超強力塗料を塗ってみましたが、そろそろ限界に来ているようで、もう日露戦争みたいに錆びてます!!
・2005.09
ブリキの接合は従来すべてガムテープでやっており、このローテクぶりが工作上の一つのポリシーないしアイデンティティではあったのですが、金属加工技術の誘惑は断ちがたく、今般ついに半田接合を導入(矢印の部分)、ちょっと産業革命です。板金用半田とフラックスを使い、だんだん鉄道模型マニアの方みたいになってきて、いいかんじです♪開口縁部も金槌で叩いて材料を薄く延ばすことで、フレア状に外側に拡がるようにし、これで全体の剛性が飛躍的に高まって、音色に少しホーンらしい高周波の残響が加わったような。


箱バンジョー
・楽器の自作って、熱中するとついつい本格的な仕上げに走りがちですが、ジャズボイラーズ的には勿論、なるべくクオリティを上げずに、ぼろっちい工作にしたいところ。コンセプトというものは非常に大事で、なにごとも方向性を見失ってはいかんと思います。

・というわけで、できました!箱バンジョー。写真では一見きれいに写ってますが、実物は細部にズレやハガレやノコギリ跡があって、いい感じにぼろっちい仕上がりです。男は黙ってジャズ専用、ということで5弦ではなく4弦のテナー(チューニングはCGDA)ですので、日本でこれを弾ける人は100人いなそうですが、弾ける人には猛烈に嬉しい物体と思われます。

・本来ボディの丸い楽器であるはずのバンジョーなのにボディが四角いという時点ですでに、既存の楽器の範疇から外れた未知の領域に踏み込んでおり、制作者やバンドのもつ反社会的な性格を予感させます。幾何学モチーフのデザインは中近東ふうでもあり、しかしシンプルな直線基調は大正時代の洋風和家具のようでもあります。「ハリー・ポッター」みたいなレトロファンタジー系ハリウッド映画から出演依頼が来そうです。いやむしろ来てほしい。笑

・ボディが四角いと、作るのがラクだし(手鋸で作れた・・)、しかも四角いから地面にそのまま立てられて、スタンドが要らないのがミソです。これ、部屋でも出先でも、すんごく便利ですよ。どこでも立つ!!。底に下駄の歯みたいなかわいい脚が付いてます。なんか明らかに、楽器よりも家具に近づいてます。。

・ボディ周面とネックは建築用の木材(ラワン単板)、14mmというぶ厚い板厚もあって、質感はほとんど古本屋の本棚みたいです。皮は透明のOHPフィルムをエポキシ接着剤で接着して熱収縮でテンションをかけ、フレットは銅線を接着してます。ブリッジは家の裏の竹、ナットはユザワヤで買ったステンドグラス用?の真鍮線を使いました。フレットマークなんてマスキングテープだよ、ここで象嵌とかに色気を出したら、ジャズボイラーズ的には負けだよね!ペグはヤフオクでエレキギター用のジャンク品を調達(6個で520円)、三重県の出品者さんありがとう。制作記録はおいおいアップします。

・個人的にちょっと気に入っているポイントは、ストラップ(肩掛け帯)をつなぐための金具です。かばん用ショルダーストラップの「ナスカン」という金具をつなぐことが可能な構造になっており、通常のギター用やバンジョー用のストラップは接続できません。深く考えて作ったわけではないけれど、これは「俺もう楽器とかそういうのじゃなくて、かばんとかの仲間で全然いいもんね」ということであり、さらに言えば、楽器方面との互換性を拒絶することによって楽器の持つ権力的序列からの離脱を表明するメッセージ性を持ったパーツとなっています(←言い過ぎ)。

・この金具の素材は折り畳み傘の骨(ピアノ線?)から採ったもので非常に強じんであり、はげかかった黒メッキの質感と頼りなさげな曲線形状は懐古的かもしれません。そういえば楽器なのにボディに容赦なくネジ止めしていて、このあたりも古本屋の本棚とかに近い扱いですが、楽器のほうはべつに平気みたいで、意外にタフな奴です。笑

・背中側が開いた「オープンバック式」バンジョーは、田中やす師匠がお好きでないと聞いていたので、本機では背中側をベニヤ板でふさぎ、後側で音道を折り返して、四隅の穴から前方に出してみました。背中側に丸いお盆の付いた一般の「レゾネーター式」バンジョーとも違って、いわば「反射式」あるいは「バスレフ式」バンジョーといったところ。

・当初はフレットがビビるし音程も下がりやすくて頼りない物体だったのですが、これを手に取った田中師匠はすかさず、なんとブリッジの下に1円玉を差し込んで弦高を調整!お陰で見違えるほどしっかりした楽器になりました。なるほど、さすが天才バンゼウ奏者!!1円玉は弦高を上げるだけじゃなくて、ブリッジの着座面積の増大によって着座圧力を低減させ、ヘッド(=皮)の局部的な伸びを抑制させるわけですね、師匠!!音質は箱鳴りがあってちょっとギターとかウクレレっぽい感じですが、けなげに鳴ってます。田中師匠には「普通に弾ける」とのコメントも頂いて感激、そういや俺バンジョーとかギターってぜんぜん弾けないし。

・この「箱バンジョー」は、今後のライブで田中師匠に(渋々?)使っていただけそうですが、たぶん1ステージで1曲、箱ベースの曲とかでしか使わないと思われます。制作者としては本当にかわいい楽器なので、お客様には全身を耳にして聴いていただきたいです!

・気を良くして早くも2本目の箱バンジョーを設計中、2本目はある新潟特産品の容器をボディにして作る予定で、すでに問題の容器を調達済み(職場の後輩女子に買ってきてもらった)ですが、詳細はまだ秘密です。だれかにパクられて先に作られると悔しいもんね、まあ誰もやんないか・・。
(2007.11)


バズーカ
the bazooka (instrument)
←これ

第1世代(2008-2010)

・個人的にずっと気になっていたヌーン・ジョンソンの怪楽器「バズーカ」ですが、ちょうど手頃な鉄パイプを拾ったので、一念発起して実機を制作し(2008年)、試行錯誤の末どうにか演奏できる状態に仕上げました。なおバズーカという楽器の歴史には意外な広がりがあることが判明、ついてはこれをそこそこ本気で調べ、結果を別ページにまとめましたので御一読ください。→ロケット兵器の語源になった楽器−幻の「バズーカ」

・楽器「バズーカ」の構造の詳細は現在も謎に包まれており、この1本は残されたわずかな映像から推理力と独自の工夫を駆使して完成させたものです。素材にした鉄パイプはおそらく洋服掛けのもの、当時はこれにインナーパイプを加えた3ピース構造であり、すんごく重いので演奏は大変でした。この演奏の時にはトロンボーン用のマウスピースを装着していましたが、インナーパイプを交換すればチューバのマウスピースを装着することも可能です。これ以上の詳細は例によってここでは秘密、公園ライブの現場に来て頂ければ空き時間にでも解説させて頂きます。試奏もOK!少しでも集客に結び付けようとの魂胆です。笑

・動画は最も初期のモデル(第1世代)で撮影は2009年12月、たぶんこの演奏が日本ジャズ史上初登場でしょう。演奏はゲストの渡辺タイキさん、「セカンドライナーズ」や「夢ブラスバンド」のチューバ奏者として活躍中の彼ですがトロンボーンの名手でもあり、バズーカの試奏者としてパーフェクトな人材です。

・ちなみに近年「世界唯一の現存するバズーカ奏者」を自称していた米国のOrmly Gumfudginさんが、2009年に87歳で逝去された模様(合掌)、ということは現在これを吹いているバカ者奏者は世界で「タイキ・ワタナベ」さんただ一人?!是非また遊びに来てトライしてほしいです、本人は超いやそうにしてますが。。。

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第2世代(2010-2011)

・2010.09 やす師匠の笑顔もナイスなこの写真はムラサキヤさんのご提供、いつもありがとうございます!春先からバズーカに多数のアップデートを施して、結果がこの第2世代です。ベル(メガホン部分)を少し大きく作り直し、塩ビのマウスピースを新規に作りました。インナーパイプを廃して2ピース構造にしたため、かなりの軽量化を実現。上がEフラットまでしか出ず不便だったのですが、もっちさんの提案に従いパイプを少し切ってFまで出るようにしました(←この自由さが凄いです)。音色もだいぶ太くなってきて、そろそろ完成形かと思われます。

・ちなみにアップデート後のバズーカを、「夢ブラスバンド」リーダーのKonchiさん(tb)に吹いてみて頂いたところ、「うぉ!ちゃんと応答がありますね」との嬉しいご感想、演奏法については「使えそうな音を幾つか見つけて、あとは感性で・・・」という的確な(というか、ずいぶん簡潔な)アドバイスを頂きました!


・ベル(メガホン部分)製作の様子。素材は日産純正エンジンオイルの缶です。業務用トマト缶やメンマ缶などの食品缶は、補強のためのリブ(=うね)が入っており、これを叩いて平坦にするのが大変なのですが、エンジンオイル缶は平坦・厚手かつ大面積の鉄板が容易に採れるので、個人的には最近注目の新素材(笑)です。
・鉄板の扇形は、秘密の自作Excelシート(ベルの円錐形状での所望の大端部直径・小端部直径と軸方向長の値を入れると、展開図での外周円の直径・内周円の直径及び中心角が算出されるようにしたもの)で設計してます。一度作っておくと設計変更が非常にラクになります。駄工作とITの融合ですね。こうして寸法の決定した扇形をドローイングソフトで実物大に製図して紙にプリントアウトし、鋏で切り抜いて型紙を作ります。この型紙を鉄板に載せて周囲を油性フェルトペンでなぞることで形状を鉄板に転写し、金切り鋏で切り出します。
・材料寸法の限界から、120度ずつ3枚の扇形を周方向に継ぎ合わせる設計にしました。3枚の扇形の鉄板を手曲げして全体の形を整えながら、半田で点付け接合します。半田付けは外れやすいので、今度作るときは溶接技術がほしいです。ちなみに隙間はエポキシ接着剤で埋めてビビリ音の防止を図りました。

・ベルの縁は外向きに2回手曲げで折り返して、缶でいう「巻き締め」ふうに仕上げ、剛性・美観・感触及び安全性の向上を図っています。この種の工作では作りこみすぎてマイルドに仕上がっても面白くないのですが、本件では半田焼けの痕が十分に荒々しいので許容範囲内と判断しました。

・ちなみにホームセンターではスチール製のじょうごの既製品は見当たらず、アルミ製のじょうごはあるのですが結構いい値段するし、音質的にも軽すぎて鉄パイプのずっしりとした鳴りを生かせない気がします。
・う〜ん、いいかんじにぼろっちい仕上がりです。ハンドルは針金ハンガーですが、もう少し太い針金でも良さそうです。ベルと内管とは粘着テープで固定していますが、ホースバンドで固定してもいいかもしれません。

・ちなみに荻窪の日産工場跡地には「ロケット発祥の地」という石碑がありますが、本件楽器との関連は無いと思います。

・気密性を高めるために、トロンボーンでいう「ストッキング部」(径がわずかに太くなった部分)らしきものを内管に工作して、内外のパイプの間のギャップをギリギリまで狭めました。すると、今度はパイプの真円度の狂いによってスライドの動きが渋くなる場面が出てきました。そこで運搬中のパイプの歪み防止のために、木製布張りの楽器ハードケースを自作してみたのですが・・・
実はこれが楽器自体よりも大変で、毎晩作業して丸々3週間びっちりつぶれました。ホームセンターで6mm厚のベニヤ板と10mm角ぐらいの三角の桟材を買い、蓋つきの箱を作って、
これに外張り布を接着剤で貼り、上から金具一式を釘で装着する、釘は先端を曲げ、内張り布を接着して隠す、というのが大まかな構造です。

・金具一式はむかしA在さん(cl)から譲り受けて近年ずっとお蔵入りになっていたトランク型のカセットテープ入れ(写真右)を分解して剥ぎ取りました。元々はおそらく「大中」とかで購入した廉価品と思われ造りは雑ですが、金具一式が揃っているのは助かります。また固定箇所がリベット留めだと分解が大変そうですが、幸いすべて釘留めだったためペンチなどで分解できました。箱の構造や細部の処理もこのカセットテープ入れを真似ればよいので、(手間は掛かるとしても)難しくはなさそうです。柄にもなく真面目な工作をやる気になってきました。

・箱は木工用ボンドと、長さ10mm程度の真鍮釘で組み立てました。真鍮釘を選んだのに意味はありませんが、なんか工芸品っぽくてかっこいいかな、と。板材には反りがあるので、釘は一気に最後まで打ち込まずに途中まで打ち込んでおいて、箱本体と蓋との一致具合を見ながら釘位置を微修正し、一致したところで最後まで打ち込むようにしたところ、結構な精度が出せました。

・カセットテープ入れにならって、箱の長辺のカドはノコギリで削りこんでアールをつけ、当て板に巻いた80番とか45番の粗い布やすりでガンガン削って表面を整えます。内側に桟材が当ててあるため、この桟材が見えるぐらい削りこんでも強度的にOKであり、このへんかなり楽しい作業です。このアールの意匠上の説得力は強力であり、これが完成品のもっともらしさの大きな源泉になりました。

・板材の隙間にはスムージングのため「バスコーク」という浴室用コーキング材(黒)を塗りましたが、塗らなくても問題ないと思います。黒い外張り布は、スーツを買ったときについてきたスーツ入れ布手提げから採取した不織布です。もう少し高級感のある布とかビニールレザーでも良かったかもしれませんが、バズーカのようなしょうもない楽器にはこれで十分でしょう。この外張り布には最終的には黒ペンキを塗って撥水性の向上を図りました。
内張り布は実家で昔使っていたカーテンを洗濯して再利用。思い出の染み込んだカーテンを匠の技で・・・なんてテレビの住宅リフォーム番組みたいですが、用途がコレでは美談かどうか大変微妙ですね。西荻窪の西友さんに頼み込んでゲットした発泡スチロール製の青森リンゴ箱から、楽器にジャストフィットするスペーサを削り出し、これをそれぞれ内張り布でくるんで接着するのですが、不規則な立体形状のため柄合わせが異様に大変で、内張り布は無地にすべきでした。またスペーサひとつあたり最低3ピースの内張り布を、すべて現物あわせで、しかも布の厚みを考慮しながら作る必要があり、そんなスペーサが20点ぐらいあって、それだけで内張り布のピースが60点!かなりグッと来る数です。とにかく根気が要ります。
そんなこんなで内張り布を、箱の内側に接着剤で接着し、スペーサ類は各所に両面テープで固定して完成!チューバ用とトロンボーン用の各マウスピース(好みで使用)と2種類のインナーチューブがぴったり収容できる便利仕様、内部には 開閉式の小物入れもあり、スプレーなどの小物が入れられます。自分で言うのもなんですが、結構本格的な造りであり、実用品として十分すぎるクオリティです。デザイン的には一見ふつうのトロンボーンケースのようであり、普通すぎて物足りないくらいかもしれませんが、明治期の工業製品を思わせる無骨な外観は自分好みであり、予想を超える満足度と言っていいでしょう。しかし・・・
オリジナルの管楽器ハードケースの制作という作業は、工数がべらぼうに多く、手間のかかり方が心底やばいです。外装4割・内装6割というところですが、材料費が板材と接着剤などで3千円ぐらいとしても、工賃としては最低10万円ぐらい貰わないと割に合わない作業量であり、かといって楽器ケースに10万円払える人は少ないでしょうから、もう日本人の人件費では職業として成立しませんよね。楽器ケース製作を職業とされている方、マジで尊敬します。素人の分際でこれに手を出したのは「毒食わば皿まで」を旨とする(?)ジャズボイラーズ的にも少々やりすぎで、魔が差したとしか言いようがありません。私がこの楽器ケース作りで得た最大の教訓は、「楽器ケースは自作するな!」ということです。「楽器ケース 自作」とかの検索で来られた方、がっかりさせてしまってごめんなさい。

・ただし、中学技術家庭や高校美術工芸の課題工作を、クラスの上位10%以内のクオリティで常時クリアできる程度の器用さがあって、且つ自作の手間自体に自虐的な楽しみネタとしての価値をも見出せるという方(楽器人口の2%ぐらいでしょうか)にならば、楽器ハードケースの自作というプロジェクトは貴方のご期待に、予想以上の重量感で応えてくれることでしょう。成功の鍵は、金具が採れて構造が真似できるような、ジャンク品レベルの楽器ケースかトランク風ケースの調達、あとは根性あるのみです。Good luck!

・そんなわけで、バズーカという楽器を見に来たいという奇特な方には、もし来られたらバズーカだけでなく、そのハードケースも見て行って頂けると、制作者的に嬉しいです。このおバカな楽器のためにハードケースを作りこむ根性のある人は、地球上で3人ぐらいしかいない気がしますし、日本では後にも先にも私だけだろうと確信しています。しかし内容はどうあれ、日本中で自分しか取り組んでいないであろう開発テーマに取り組んだというのはなかなかの気分ではあり、後悔はしていません。笑

・気密と潤滑のため、スライド部にはスライドグリース(トロンボーンの人が使うらしい)の代用品として、薬局で売っているワセリンを塗布しており、さらに演奏時には水スプレー(百均)を吹きつけています。アプローチとしては間違ってないはず。しかし演奏時の摩擦で鉄粉が出るようで、1日2曲演奏するだけで、掃除の布が見事な赤サビ色に汚れます。白い服を着た人は、この物体には近寄らないのが無難でしょう。本当はステンレスか真鍮で作るべき楽器なのでしょうね・・・。水分を残さないように、手入れにはひどく気を使います。

・マウスピースは、水道管用のキャップ(塩化ビニール製)に穴をあけて作りました。塩ビキャップ頂部の円形平坦部の中央にドリルで6つほど穴をあけ、これらの穴を一つにつなげて紙やすりで円形に拡げてゆき、口縁部を環状のリムらしき形状に整えれば完成です。紙やすりの番手を40番から徐々に1000番まで上げ、さらに古タオルで研磨したので、結構ピカピカの光沢になりました。

・この「外ばめ式」のマウスピースは、これがない裸の鉄パイプの場合に比べて唇の負荷を劇的に軽減でき演奏性が高い上、既存のトロンボーン用やチューバ用のマウスピースに比べて内径が太いので容易に洗浄でき、しかも既存の塩ビのキャップから作れるため容易に自作可能、リム内径やリム表面形状の設計も自由自在という画期的なものであり、これを思いついたときには、自分的にはバズーカ史に残る発明をしたんじゃないかと一瞬興奮しました。

・ところが・・・調べるとこれに似た形状のゴム製のマウスピースがディジュリドゥ(オーストラリアの民族楽器)用として市販されていることが判ってがっかり。発明というのは難しいものです。

・ちなみに水道管用の塩ビキャップは内径が各種ありますが、鉄パイプをホームセンターの水道管コーナーに持ち込めば、ジャストサイズのものを現物合わせで容易に選べます。笑。たしか1個70円とか110円とかで妙に安く、もうホームセンター楽しすぎです。

・このマウスピースはリムの内径をほぼトロンボーンと同様にしましたが、楽器自体がトロンボーンに比べてずっと太いためバックプレッシャーがほとんどないことと、おそらく管長の短さに起因して高音域の倍音が非常に出しにくいことから、トロンボーンとは吹奏感が全く異なり、むしろトロンボーンを上手く吹ける人ほど演奏に難儀するようです。ボブ・バーンズのバズーカも「数多くのトロンボーン名人が演奏に挑戦したが、バーンズ以外の誰も吹けなかった」と言われており、これもこの異様な吹奏感が原因と思われます。

・そんなこともあって最近はもうコバヤシが自分で吹いてます。ドラム以外なんの楽器経験もない自分に、まさか管楽器を人前で吹く日が来るとは夢にも思わず、人生何があるかわかりません。目下のレパートリーは"Bill Bailey won't you please come home"とか"Red Wing"、コードとか理解せずに根性と直感で吹いてるので大変といえば大変ですが、ポジションがシビアでなくアンブシュア(って言うの?)でカバーできる部分も多いため、ここでコードやスケールの勉強をすべきなのかは悩ましいところ。いずれはルイ・ネルソン(Louis Nelson; トロンボーン)みたいに、端正で美しい主旋律と、お約束フレーズのアドリブが吹けるようになるといいなあと思うのだけれど、果たしてそんな日は来るのでしょうか??

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第3世代(2011-)

・「第2世代」までのバズーカの素材にしていた金属管は、演奏するたびに猛烈に錆びるため、毎回のメンテナンス(洗浄・乾燥・ワセリン塗布)が大変でした。この金属管はどうやら「クロムメッキ鋼管」というものらしく、外装はメッキ層で防錆されていても所詮は鉄パイプであるため、メッキ被膜のない内面の鋼材がバズーカのスライド動作に伴って摩擦され、微細な鉄粉が出ます。このことに加え、吹き込んだ呼気中の水蒸気が内壁面で冷却され結露(凝結)することによって、いわゆるガルバニック腐食(異種金属間のイオン化傾向の相違に起因した局部電池作用による腐食)が誘発され、結果として理想の電気化学的サビ環境を提供していたようです。

・他方、一般的な「ステンレス物干し竿」を流用すれば良いかというと、その多くが実はステンレス100%でなく、折れにくくするために主材を鉄パイプとし表面をステンレス箔でコーティングした「複合材2重管」あるいは「ステンレス・クラッド管」と呼ばれるものであるため、これをバズーカに使用すると同様の問題が生じそうです。

・そこで、ステンレス100%の管素材はないか?できれば日用品系で・・・と探していたところ、「浴室用突っ張り棒」(アイリスオーヤマ製)という製品がステンレス100%であることを発見、2011年9月ついにバズーカのステンレス化を決行しました。時間がなかったためネット通販は利用せずにホームセンターに急行、2軒目で「浴室用〜」の現物を見つけて、即購入です。実売価格1650円もする製品を新品で購入していきなり真っ二つに切るのは、スーパーケチの私には重大な決断ですが、他の選択肢はなく、後戻りはできません。

・ディスクグラインダーで切るのは住宅街では近所迷惑すぎるため、切断には手動のパイプカッターを使いましたが、さすがにステンレスは硬くて一日仕事でした。久々に手にマメができました・・・。

・意匠面では、ベルに残していた「NISSAN」等の塗装が思ったほど面白くないので紙やすりで剥離し、ハンドル(針金ハンガー製)もブルーのビニールコーティングを剥がして形状を直線基調に整えました。廃物利用楽器ですのでなるべく前世の形態を残したいと思っていたのですが、ロゴマーク等の非素材色の塗装や、鮮やかにビニールコーティングされた素材の使用は、少なくとも管楽器にはジャンク感が強すぎて興趣を損なうようであり(ギター等には良いのかも)、意外にさじ加減の難しいところです。

・ステンレス管のヘアーライン仕上げもきれい過ぎるかなと心配しましたが、結果的にはベルの無骨な円錐形やベル表面の剥離ムラと形状ムラだけでも、管楽器として十分な違和感が出ており、このぐらい抑制的でも自作感が十分表現できているようです。


・ベルの固定は粘着テープから、ボルト締め込み式のステンレス製ホースバンドに変更し、実用性と共にややメカニカルなディテールが加わりました。第3世代バズーカの完成です!仕上がりは大満足、毎回のサビ地獄からついに解放されて、快適そのものになりました。パイプの洗浄時にベルを取り外すため、ホースバンドのねじ頭に適合する7mmナットドライバーをMonotaRoで購入(¥265)、楽器ケース内に常備できてこれまた便利です。

・動画は再び渡辺タイキさん、普段はトロンボーンでどんな曲でも技巧と機知に富んだアドリブを展開する彼ですが、なまじトロンボーンが上手なだけにバズーカの吹奏上の違和感は強烈らしく、またしても苦戦しておられる模様です。苦戦すると分かっていて挑戦するスピリットが素敵ですね。尚この動画には英語の説明文をつけておいたところ、なんとバズーカの発明者とされるボブ・バーンズ(1890-1956)のお孫さんからコメントがつき、又いつのまにか米国の現代芸術家Scott F. Hallさんのバズーカ解説頁「How to Make and Play the Bazooka Instrument」の末尾から「タイキ・ワタナベ、現代のバズーカ奏者」としてリンクされていました。笑



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・ちなみに、簡易な膜鳴楽器であるカズー(kazoo)は英国では「バズーカ」とも呼ばれているようですが、Burnsのバズーカとは別の楽器です。この点、ヤマハさんのサイト(←消えてました。キャッシュはこちら)はいささか混乱しており、「カズー」の解説の中で

「対戦車ロケット騨発射筒・・・の『バズーカ』の命名はこの楽器に由来しています。発射筒の形がカズーに似ていたからにほかなりません。 」

などとしていますが、バズーカ砲の形はカズーには似ておらず、この解説は誤りです。バズーカ砲の命名の起源がカズーでなくBurnsのバズーカにあることは複数の文献で確認でき、また、下の写真↓に見られる形状上の類似性からも明白でしょう。うーん、これもいい写真だ。
Burnsのバズーカが最も注目された舞台が第二次大戦中の米国のしかもラジオショーであったことは、日本人によるバズーカ研究(?)を難しくしているのかもしれませんし、またバーンズの全盛期に「バーンズのバズーカを模したカズー」が市販されていたことも状況をややこしくしているのでしょうが、いやしくも世界の管楽器の1/4を作っているといわれるヤマハさんの、しかもお膝元である日本語サイトの解説にしては検証が甘く、なによりバズーカに対する愛情やリスペクトが感じられないのは残念というほかありません。ヤマハさん、しっかりしてくださいよ!いや本当はどうでもいいんだけどな。ってどっちやねん。


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